心療内科・精神科

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群は、「こころ」と「からだ」の両面にアプローチが必要な病気です。

●過敏性腸症候群(IBS)とは?



過敏性腸症候群(irritable bowel syndromeの頭文字から「IBS」といいます)は、お腹に特別な病気がないのに腹痛、便秘や下痢などのお通じの異常が続く状態のときに最も考えられる病気です。
若い人に多い病気で、およそ10%程度の人がこの病気であるといわれています。女性のほうが多く、年齢とともにに症状が軽くなることが多いです。ストレスからくるお腹の痛み、便秘・下痢などの症状は、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。

●過敏性腸症候群(IBS)の原因



IBSになるはっきりした原因はわかっていません。
小腸や大腸などの腸には、食べ物の栄養を消化・吸収し、不要なものを便として体の外に排泄する働きもあります。排便のためには、自律神経の副交感神経が働いて腸を収縮させて腸内の食べ物を送り出し、肛門付近に便が移動すると刺激が脳に伝わると便意を感じます。脳と腸は密接につながって作用しあっているのです。

便が大腸を移動するときには自律神経の副交感神経が働いて腸を収縮させ、便が肛門付近に達するとその刺激が脳へ伝わり便意を感じます。脳と腸は密接につながって作用しあっているのです。
IBSの患者さんでは、脳⇄腸間の信号の両方が強くなっています。
脳⇄腸間の信号を強くする原因としてストレス、食事、ある種の細菌があります。
不安や緊張などのストレスは、脳から腸に向かう信号を強くして、自律神経・内分泌を介する消化管運動を変化させます。
香辛料・スパイスなどの刺激のある食事、水分やアルコールの取りすぎなどの食事の種類と摂取方法は腸から脳に向かう信号を強くして知覚過敏状態を引き起こします。
細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった場合、回復後にIBSになりやすいことが知られているように、腸にごく軽度の炎症や、粘膜を弱らせてしまうことでIBSが起きてしまうことがあります。

●過敏性腸症候群(IBS)の診断



過敏性腸症候群には標準的な診断基準(ローマ基準)があります。
その基準は、

IBSの診断基準(ローマⅢ基準)
最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
下記の2項目以上の特徴を示す
1)排便によって症状がやわらぐ
2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

というものです。

確定診断のために忘れてはいけないのは、腹痛や便通異常の原因となる病気がないことを確認しておくこ
とです。
具体的には、大腸の内視鏡検査、血液検査などで大腸がんなどの悪性疾患や炎症性腸疾患などがないかを確認しておくことが必要になります。

●過敏性腸症候群(IBS)のタイプ



IBSのタイプは、「便秘型」、「下痢型」、「混合型」、「分類不能型」の4つの型に分類されています。

1.下痢型
不安や緊張のストレスから腸が過剰に収縮して腹痛や下痢が生じます。

出勤時の電車、緊張する仕事の場面などに激しい腹痛と便意を催し、「快速に乗ったらトイレに行けない」「大事な仕事の途中でトイレに行くわけにはいかない」という不安を感じるようになります。
不安から腸が過敏になり、そのような状況で症状が出現しやすくなるという悪循環におちいってしまいます。

2.便秘型
不安や緊張のストレスから腸の動きが悪くなり便秘とお腹の張りが生じます。

3.混合型
下痢と便秘を繰り返します。

4.分類不能型
1から3どれにも分類できないタイプです。

●過敏性腸症候群(IBS)の治療



1.生活習慣の改善

バランスのとれた食事を規則正しく摂り、疲労やストレスを溜めないように睡眠や休養を十分にとることがまずは大切になります。刺激物やアルコールはとりすぎないように注意しましょう。

2.お薬による治療ーからだのお薬
生活習慣を改善しても症状が改善しない場合には、お腹の調子を整えるためにお薬を使います。

1)消化管機能調節薬ーセレキノン(トリメブチマレイン酸)
胃・腸運動町立作用という腸の動きを整える作用があります。
下痢型。便秘型のどちらにも使えます。

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