心療内科・精神科

傷病手当金

傷病手当金について、申請条件などについて解説しました。

●傷病手当金とは

傷病手当金とは、病気やケガで仕事ができない時に安心して休養できるように、生活を支える目的で一定額が支給される健康保険の制度です。
精神科や診療内科では身体だけでなく心も休養が必要ですが、経済的な不安があれば心を休めることも困難ですので、うつ病などの精神疾患も対象になります。

●傷病手当金の支給対象となる条件
1.勤務先の健康保険に加入している被用者本人であること
傷病手当金は、健康保険に加入している人全てが対象になるわけではありません。
傷病手当金は勤務先の健保組合・協会けんぽ・共済組合に加入している方が対象です。社会保険に加入している方であれば対象となりますが、市町村の国民健康保険には、傷病手当金の制度がありません。
傷病手当金の対象は、勤務先の健康保険に加入している被用者本人だけです。パート・アルバイトで勤務先の健康保険に入っていない方、自営業で国民健康保険の方も対象外となります。
2.業務外の傷病で仕事に就くことができない状態との医師の診断があること
「仕事に就くことができない」とは、今まで担当していた業務ができない状態になったことを言います。「仕事に就くことができないかどうか」は、医師の意見や業務内容などを考慮して、会社が加入している健康保険が審査をして判断します。
仕事中や通勤中の事故など、業務に原因がある傷病での療養の場合は、傷病手当金ではなく労災保険の適応になります。
3.勤務先から給与が支払われなくなったこと
休職することになった場合、一般には無給となる場合が多いようですが、有給休暇や病気休暇などの制度がある給与補償制度がある会社もあります。そのような勤務先の場合は、傷病手当金より勤務先の給与補償制度が優先されます。
原則として、給与が支払われている期間は傷病手当金を受給できません。ただし給与の額が傷病手当金の額よりも少ない場合は、差額が支給されます。ここで言う「給与」には、通勤手当なども含まれます。
4.連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいる
傷病手当金を受給するには、業務外の傷病の療養のために仕事を休んだ日から連続3日間休み続ける(=待機の完成)という傷病手当金支給の前提条件が必要です。「仕事を休んだ最初の3日間」には土日や祝日などの公休日も含むことができ、有給休暇をあてることも可能です。「仕事を休んだ最初の3日間」に対しては傷病手当金は支給されませんが、その3日間の休みの後、4日目の休職日から傷病手当金の支給対象となります。

●退職後に傷病手当金を受給できる条件
退職後に継続して傷病手当金を受給することは可能ですが、その場合は前述した4つの条件に加え、さらに以下の条件を満たす必要があります。
1.退職日までに継続して「1年以上の被保険者期間」があったこと
退職日までに1年以上健康保険に加入している必要があり、1年以上の被保険者期間には、1日でもブランクがあってはいけません。
転職をしている場合でもブランクがなければ、会社や保険者が違っていても適応されます。
2.退職のときに傷病手当金を受給できる状態、または受給中であったこと
「受給できる状態」とは、出勤できない状態、すなわち「労務不能」な状態を言います。
例えば、休職のまま退職日を迎える場合に、退職日だけデスクの整理やあいさつなどで出勤してしまうと、半日だけの出勤であっても、労務不能の状態が解消されたと判断されてしまい、傷病手当の受給要件を退職日に満たさなくなってしまいます。デスクの整理やあいさつなどが出勤の扱いになる場合は、必ず退職日より前に済ませておくことをおすすめします。
退職前に使用していない有給休暇を消化する場合は、その期間は賃金が発生するため傷病手当金は支給されませんが、「給与が支払われたこと = 出勤できる」とは判断しませんので、退職後に傷病手当金を受給する資格は得られます。

●傷病手当金の支給期間と支給額

1.傷病手当金の支給期間
傷病手当金の受給は、同一の傷病について、最長1年6カ月間可能です。
最初に受給し始めた日から「カレンダー上で」1年6か月を経過すると支給が終了します。体調が回復して復職した後、再度、2年後に体調の悪化から休職した場合には、復職期間も含めて最長1年6カ月間なので、再休職後に傷病手当金を受給できなくなる可能性があることに注意が必要です。
2.傷病手当金の支給額
傷病手当金の支給額は、健康保険などの制度で使われている、毎月の給与などの額を一定の幅で区分した「標準報酬月額」を基準に計算されます。
例えば入社1年以上で、過去12ヶ月の標準報酬月額が30万円だった人の場合、1日あたりの支給額は6,667 円となります。

●傷病手当金を申請するにあたっての注意事項
医療機関に受診する前の労務不能の証明はできません。
例えば、8月1日から8月10日に欠勤していても、8月11日に受診した場合には、受診日以降の労務不能の証明しかできません。

継続して精神科に通院していても、受診が1日もない月の労務不能の証明については、診察していない期間の証明は困難と医師が判断する場合も多々あり得ます。
仮に医師が記載をしても、健保側が根拠の不足から労務不能と認めない場合もあります。
基本的に休職して傷病手当金を受給中の場合には、1~2週間おきに通院されている方が申請がスムーズです。

傷病手当金において、未来の分の労務不能は証明できません。
例えば、8月1日~31日の労務不能で申請するときには、9月1日以降に記載することになります。

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